今までいくつか産地を調査してきましたが、三大大国にはまだでした。ということで、今回は情熱の国、ワイン生産世界第3位、スペインのワインについて調べてみました。
チリと同様、安い!が代名詞だったスペインでしたが、ところがどっこい、プレミアムワインの産地ということで最近再認識が広まっています。
ちなみに私はもともとリーガ・エスパニョーラが大好きなので、スペインワインには親しみがわきます!
そんなスペインについて。ぜひご覧ください。
スペインのワインの概要
スペインのワイン造りの歴史は古く、フェニキア人によって紀元前11世紀頃に始まったと言われています。その後、ローマ人やアラブ人によってワイン造りの技術が発展し、特に中世以降、ムスリムの支配下でもキリスト教徒の地域で作られ続けたワイン。修道院がワイン造りを行うことで、その品質が向上し、レコンキスタの後、スペインはワインの主要生産国としての地位を確立しました。
19世紀末には、フィロキセラの影響を受けたフランスのワインメーカーがスペインに移住を進めて、スペインワインの品質が大きく向上しました。20世紀に入りm原産地呼称制度(DO)の導入により品質保証が進み、現在、スペインはその多様な文化と歴史を反映したワイン造りで知られ、多くの地域でワイン造りの伝統が育まれています。
スペインは様々な気候があり、カタルーニャ地域では温暖な地中海性気候、大西洋からの冷たい風が吹く海岸地域、寒暖差の大きい内陸の大陸性気候など、バラエティー豊かなワイン造りが出来る環境です。
土壌もまた、石灰岩質、粘土質、砂質など多様です。スペインは、フランスやイタリアと並び世界最大のワイン生産国の一つです。国際機関の統計によると、スペインは世界のワイン生産量の約15%を占めており世界第3位、その生産量の大部分が国際市場に輸出されています。
スペインのワインは、豊かな果実感、バランスの取れた酸味とタンニン、そして熟成による複雑さで知られています。特に赤ワインは力強い味わいが特徴です。熟成規定もあり、アメリカンオークを使うことが義務付けられるケースも多いため、樽の華やかな香りが漂うケースが多いです。白ワインやスパークリングワインも、爽やかでフルーティーな風味が楽しめます。
主な生産地域
リオハ (La Rioja)
リオハはスペインでも最も著名なワイン産地であり、国際的に高く評価されているプレミアムな赤ワインを中心に生産しています。主要なぶどう品種はテンプラニーリョで。リオハは、クリアンサ、レセルバ、グラン・レセルバと熟成期間に応じて分類基準を設けており、これはスペインと一緒ですが、基準は独自のものを採用しています。
プリオラート (Priorat)
プリオラートはカタルーニャ州に位置し、その険しい斜面と「リコレラ」と呼ばれる特有の黒鉛含有スレート土壌で知られています。リオハと並ぶ産地です。
この地域は地中海性気候で温暖で、フルボディな力強いワインが作られます。プリオラートでは、ガルナッチャとカリニェナ種を主体とした、非常に濃縮されたフルボディの赤ワインが主流です。プリオラートのワインは、その強烈なミネラル感、深い色合い、豊かなタンニン、そして長い余韻で高く評価されています。
リベラ・デル・デュエロ (Ribera del Duero)
リベラ・デル・デュエロは、カスティーリャ・イ・レオン州に位置し、テンプラニーリョ種を主体としたフルボディで力強い赤ワインで知られています。スペイン随一のプレミアムワイン地域です。この地域の気候は大陸性で、昼夜の温度差が大きいことが特徴です。これにより、ぶどうがゆっくりと熟し、果実味が濃縮され、色が濃く、タンニンが豊富なワインが生産されます。リベラ・デル・デュエロのワインは、その力強さと構造、長い熟成ポテンシャルで評価されています。
ガリシア地方
ガリシア地方、特にリアス・バイシャス (Rías Baixas) 地区は、スペインの白ワイン生産で最も有名です。この地域は、アルバリーニョ種の白ワインで知られ、酸味が鮮やかで、花や柑橘類のアロマが特徴です。ガリシア地方は大西洋の影響を強く受けるため、比較的涼しく湿度が高い気候で、この条件がフレッシュで酸度の高いワインを生み出しています。
ヘレス (Jerez)
ヘレス地方は、そのユニークな製法で生産されるシェリー酒で有名です。シェリー酒は、パロミノ、モスカテル、ペドロ・ヒメネスといった品種から作られ、独特の熟成プロセス「ソレラ」によってその特徴が形成されます。ヘレスのシェリー酒は、ドライからスイートまで幅広いスタイルがあります。詳細はまた別の機会に。
代表的なぶどうの品種
テンプラニーリョ (Tempranillo)
テンプラニーリョはスペインを代表する赤ワイン用ぶどう品種であり、リオハやリベラ・デル・デュエロなどの高品質なワイン生産地域で主に栽培されています。テンプラニーリョは、柔らかいタンニンと酸味、赤い果実の風味、そしてオーク樽熟成からくるバニラやスパイスのニュアンスを持つワインを生み出します。この品種は、熟成能力が高く、時間と共に複雑さを増していきます。
ガルナッチャ (Garnacha)
ガルナッチャ(グルナッシュとも呼ばれる)は、フルボディでアルコール度数が高く、赤い果実やスパイスの風味が特徴的なワインを生産する品種です。プリオラートやカタルーニャ地方で広く栽培されており、単一品種のワインや他の品種とのブレンドに使用されます。ガルナッチャは暑い気候に適応する能力が高く、乾燥にも強いため、スペイン南部の温暖な地域でも栽培されています。南仏でよく生産されているグルナッシュの起源ともいわれています。
アルバリーニョ (Albariño)
アルバリーニョは、スペイン北西部ガリシア地方のリアス・バイシャス地区を中心に栽培される白ワイン用ぶどう品種です。この品種から生産されるワインは、鮮烈な酸味とミネラル感、柑橘系のアロマと花の香りが特徴で、シーフードとの相性が非常に良いとされています。アルバリーニョは、スペイン白ワインの中でも特に国際的な評価が高い品種の一つです。日本でも北陸地方を中心に注目されています。
モナストレル (Monastrell)
モナストレル(フランスではムールヴェードルとも呼ばれる)は、主にスペイン南東部で栽培されており、フルボディでタンニンが豊富なワインを生み出します。この品種は、熟した赤い果実、プラム、ペッパー、スパイスの風味が特徴で、熟成能力が非常に高いとされています。モナストレルは、他の品種とブレンドされることで、複雑性とバランスを高める役割を果たすことが多いです。
ヴェルデホ(Verdejo)
カスティーリャ・イ・レオン地方で栽培され、酸味とミネラル感、ハーブやフルーツのニュアンスのある白ワインを生産しています。
パロミノ (Palomino)
パロミノは、主にアンダルシア地方のヘレスで栽培されており、世界的に有名なシェリー酒の生産に使われる品種です。このぶどうから作られるワインは、その独特の製法により、ドライから非常に甘いスタイルまで多岐にわたります。パロミノは、特にソレラ法という熟成方法による複雑な風味とアロマのシェリー酒生産で重要な役割を果たしています。
代表的なスペインの郷土料理とそれに合うワインのペアリング
1. パエリアとアルバリーニョ
パエリアは、スペイン東部バレンシア地方が発祥の米料理で、シーフードや肉、野菜を豊富に使った色鮮やかな一品です。この料理には、酸味とミネラル感が特徴的なアルバリーニョがよく合います。アルバリーニョの爽やかな柑橘類のアロマと鮮烈な酸味が、パエリアの濃厚な味わいを引き立て、口の中をすっきりとさせます。
2. ハモン・イベリコとテンプラニーリョ
ハモン・イベリコは、イベリコ豚の生ハムで、豊かで上質な脂と塩味が特徴です。この上品な味わいの生ハムには、フルーティーでなめらかなタンニンのテンプラニーリョベースのワインが最適です。特にリオハやリベラ・デル・デュエロのテンプラニーリョは、ハモン・イベリコの複雑な味わいとバランス良く合います。
3. ガスパチョとヴェルデホ
ガスパチョは、アンダルシア地方発祥の冷たい野菜スープで、トマト、ピーマン、キュウリ、オリーブオイル、酢をベースにしています。爽やかで酸味のあるスープには、酸味とフルーティーなアロマが際立つヴェルデホがぴったりです。ヴェルデホのワインは、ガスパチョのフレッシュな味わいを引き立てつつ、爽快感を加えます。
4. コチニージョ・アサード(乳飲み豚の丸焼き)とガルナッチャ
コチニージョ・アサードは、セゴビアをはじめとするスペイン中部地域の伝統的な豚の丸焼き料理です。この豚肉のジューシーで柔らかな味わいには、フルボディで果実味豊かなガルナッチャが合います。ガルナッチャのワインは、肉の味わいを引き立てつつ、その豊かな果実味が料理の味わいに深みを加えます。
5. チョリソーとリオハのテンプラニーリョ
スペインの代表的なサルシッチャであるチョリソーは、パプリカのスパイス感が特徴的なソーセージです。この癖のある味には、リオハの赤ワインが合います。樽のヴァニラ感や果実の凝縮感がチョリソーの臭みを消して、旨味だけを際立たせることができます。
代表的な観光地
スペインはその豊かな歴史、美しい風景、多様な文化により、世界中から観光客が押し寄せています。以下では、スペインの代表的な観光地を深堀りし、それぞれの魅力について詳しく見ていきましょう。
バルセロナ (Barcelona)
バルセロナは、カタルーニャ州の州都であり、アントニ・ガウディの建築作品で有名です。特に見逃せないのは、未完成ながらも壮大なサグラダ・ファミリア教会、色彩豊かなパルク・グエル、個性的なカサ・ミラ(ラ・ペドレラ)やカサ・バトリョなどです。ガウディの独創的なスタイルは必見!
また、バルセロナはラ・ランブラ通りやゴシック地区の散策、ボケリア市場での食文化体験も楽しめます。
グラナダ (Granada)
グラナダはアンダルシア地方に位置し、イスラム文化とキリスト教文化が融合した歴史好きにおすすめの街です。最大の見どころは、アルハンブラ宮殿で、イスラム建築の精巧な装飾と壮大な庭園が訪れる人々を魅了します。アルハンブラからは、グラナダの旧市街や遠くシエラネバダ山脈の景色も一望できます。また、アルバイシン地区の迷路のような石畳の通りを散策するのもおすすめです。
サンティアゴ・デ・コンポステーラ (Santiago de Compostela)
ガリシア地方の街。中世から続くキリスト教の巡礼路「カミノ・デ・サンティアゴ」の終点として知られています。サンティアゴ・デ・コンポステーラの大聖堂は、聖ヤコブの墓があるとされ、毎年数多くの巡礼者や観光客が訪れます。街自体も、美しい中世の建築が残り、歴史的な雰囲気を感じることができます。
セビージャ (Seville)
セビリアはアンダルシア地方の首都で、情熱的なフラメンコ、華やかなフェリア・デ・アブリル、歴史的な建築物で知られています。大聖堂とヒラルダの塔、アルカサル宮殿、スペイン広場など、見どころが豊富です。特にアルカサル宮殿は、イスラム時代の影響を受けた華麗な建築と美しい庭園が魅力的です。
トレド (Toledo)
トレドは、マドリードから南西へ約70kmに位置する歴史的な都市で、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教の文化が融合した「三文化の都」として知られています。旧市街は世界遺産に登録されており、狭い路地、中世の建築、そして印象的なアルカサール(要塞)が特徴です。トレドはまた、「エル・グレコの街」としても知られており、この有名な画家の作品を多数見ることができます。特に、サント・トメ教会にある「エル・エントィエロ・デル・コンデ・デ・オルガス(オルガス伯の葬儀)」は見逃せません。トレドは剣やその他の鍛冶製品でも有名で、伝統的な技術を今に伝える工房がいくつかあります。
マドリード (Madrid)
スペインの首都であるマドリードは、プラド美術館やレイナ・ソフィア美術館、ティッセン=ボルネミッサ美術館といった世界クラスの美術館があり、「美術の黄金三角」を形成しています。また、王宮、プエルタ・デル・ソル、グラン・ビアなど、歴史的な建物や広場も多く、スペインの王室や歴史に触れることができます。夜には活気あるナイトライフが楽しめ、タパスバルでの食事やフラメンコショーを楽しむことができます。
というかスペイン旅行は最高です。景観、文化、グルメ、フットボール、そこにワインが加わります!
まずスペインワインを楽しんで、スペインに思いをはせつつ、実際にスペイン旅行に行くのは超おすすめです!
以上。スペインの魅力を少しでも感じでいただけたら幸いです!
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