今日はイタリアのピエモンテの代表といえばこちら。イタリアワインの王バローロや女王バルバレスコを作るあのネッビオーロについてまとめてみました。
ネッビオーロ、酸味もタンニンもどっちも強い。そんなイメージですよね。だからこそ!長い間熟成すると複雑で色々なものが一体に溶け込む素晴らしいワインになるんです。
こちらが家のバローロ。
これが昨日飲んだやつ。まだまだ熟成したほうがいいかも、というのが正直な感想(笑)。美味しいけどね。
そのバローロを作るのが、偉大なぶどうであるネッビオーロ。イタリアのピエモンテ地方の赤ワイン用ブドウ品種です。その名前は「小さな霧」を意味するネブビオーラ(nebbiola)に由来しており、ブドウの表面に霧の様な白い粉が付くことから名づけられました。
ネッビオーロは、バローロ、バルバレスコ、ガッティナーラなどの高貴なワインのブドウとして知られています。しかし同時に、非常に育てにくく、栽培が難しい品種でもあります。そのため、ネッビオーロはしばしば「イタリアで最も偉大で最も問題のある品種」と呼ばれます。
ネッビオーロから造られるワインは、非常に複雑でパワフル、そして長期熟成に適しています。タンニンが非常に力強く、熟成を経るにつれ深みのある香りと味わいを獲得します。世界で最も偉大なぶどうの一つと評するひとも多いのです。
ネッビオーロの産地
ネッビオーロの主産地は、イタリア北西部のピエモンテ州。この地域は、アルプス山脈に源を発するポー川の流域一帯に広がっています。
ピエモンテは一般に温暖で日当たりの良い気候に恵まれていますが、ネッビオーロ栽培に適した主要な産地は、比較的冷涼な気候条件を持つ特定のエリアです。
最も有名なのは、バローロ村を中心とした「バローロ」の産地です。海抜200~500mの丘陵地帯に点在するネッビオーロ畑では、朝夕の温度が低く、昼間はしっかりと日が当たる環境が整っています。典型的なバローロは、骨格のしっかりしたタンニンと高い酸味、複雑な香りが特徴です。
バローロに次いで重要なのが、バルバレスコ村の「バルバレスコ」産地です。やはり丘陵地帯に位置し、土壌は主に粘土石灰質です。バルバレスコは一般にバローロよりもタンニンがやや柔らかく、香りも少し開放的な印象があります。
その他にもガッティナーラ、ディアーノ・ダルバなど、同じくピエモンテ州内の特定のエリアがネッビオーロ産地として知られています。
ピエモンテのネッビオーロ産地は、その大部分がユネスコの世界遺産に登録されており、独特の景観と伝統的な手法が保たれています。
ネッビオーロの特徴
ネッビオーロから造られるワインは、複雑でパワフル、そして長期熟成に適した特徴を持っています。その主な特徴は以下の通りです。
【香り】 若い頃はレッドチェリーやラズベリーなどの赤い果実香が感じられますが、熟成が進むにつれ、ローズ、なめし革、トリュフなどの複雑でスパイシーな香りへと変化していきます。果実の香りはフランスよりも強く、フレッシュというよりドライフルーツの香りが強いです。
【味わい】 ネッビオーロのタンニンは非常に力強く、骨格となる強いストラクチャーを形作っています。同時に酸味も高く、ミネラル分も豊富に含まれています。これだけタンニンと酸味が両方強い品種はなかなかないです。
熟成を経ると、タンニンが徐々に丸みを帯びてきます。酸味もなめらかになり、ミネラル分の旨みが増してきます。10年以上の熟成を経ると、とろけるようななめし革の風味と複雑な香りが現れ、フルボディながらエレガントな味わいへと変貌します。ネッビオーロは熟成向きです。
造り手による違い
とくに、バローロは、伝統的な生産者が、伝統的な手法で作ることにこだわってきました。しかし、伝統的なバローロは骨格が非常に太く「寝かさないと固すぎて楽しめない」ものも多く、国際市場での評価が高くなかった時代もありました。
それに対して、バローロボーイズと言われた当時の若手醸造家たちが、フレンチオークの小樽を用いる現代的な手法を取り入れあり、よりモダンでフレッシュ、フルーティなバローロを作るようになりました。革新的なバローロは、伝統的なものに比べてアロマがはっきりとし、滑らかなタンニンを持っています。
同じネッビオーロでも生産者の個性により、さまざまなワインが楽しめます。伝統かモダンかどっち側のネッビオーロかも意識して楽しむのもいいと思います。
ペアリング
ネッビオーロは芳醇で力強い味わいを持つため、相性の良い料理と合わせることで、料理と合わせることで本領が発揮されます。ピエモンテ州の郷土料理をはじめ、次の料理が特におすすめです。
【赤身の肉料理】 ネッビオーロの豊かなタンニンと旨みは、肉料理の脂肪分と絶妙にマリアージュを果たします。特に、ピエモンテ州の名物であるブラ(ビーフの煮込み料理)やコートレッタ(豚の背骨の煮込み)は最高の組み合わせです。その他、美味しいのはステーキや煮込みラムにも合います。
【チーズ】 ピエモンテ州は、チーズの名産地でもあります。熟成したネッビオーロと一緒にパルミジャーノ・レッジャーノやペコリーノ・ロマーノなどのハードタイプのチーズを合わせるのがおすすめ。旨味とミネラル分が掛け合わさり、相乗効果が生まれます。
【トリュフ】 白トリュフやブラックトリュフなどを使った料理は、ネッビオーロとの絶妙な相性があります。土の香りと香り立つスパイシーさが、トリュフの芳香と調和します。バターとトリュフを使ったリングイネはクラシックな組み合わせです。
【きのこ料理】
ネッビオーロの複雑な香りは、きのこ料理とも非常に良く合います。松茸や舞茸、岩海苔などのきのこを使ったリゾットやパスタは、理想的な組み合わせと言えるでしょう。
終わりに
ネッビオーロは、間違いなくイタリアを代表する最高の黒ブドウの一つと言えるでしょう。その複雑で奥深い味わい、長期熟成による旨味の変化、ピエモンテの食文化との絶妙な調和など、たくさんの魅力があります
しかし同時に、ネッビオーロはワイン造りにおいて最も難しい品種の一つとも言われています。育てにくく、醸造には熟練の技術が必要不可欠なのです。そのため、よく「最も偉大で最も問題のある品種」と表現されます。
硬くて飲みづらい、からシルキーで最高、までふり幅が大きいのもネッビオーロの魅力です。おいしいバローロと出会ったら感動モノ・・・。
ぜひ、皆さんも、美味しいネッビオーロを探してみてください。ランゲ・ネッビオーロでもめちゃくちゃおいしいもの、ありますよ!
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