昨日はポルトガル料理について書いたので、今日は流れでポルトガルワインについて。ちなみに赤で一番生産されているのはテンプラニーリョ(アラゴネス)です。隣の国と一緒ですね(笑)
個人的には、ポルトガルといえばヴィーニョ・ヴェルデですね、行きつけの飲み屋に常駐していたワインなので。でもそれだけじゃない。
ポルトガルは古くからワイン造りの伝統ある国として知られ、世界に名だたるワインを多数生み出してきました。その歴史は紀元前から続くと言われ、フェニキア人がこの地にブドウ栽培を持ち込んだのが始まりだったと考えられています。フェニキア人が持ち込んだっていうのは、やっぱりお隣と一緒w
中世に入るとワイン生産は修道院を中心に発展し、15世紀にはすでにポート・ワインの原型が誕生。ドウロ川の川沿いに広がる珍しい階段式の畑で、世界最古のワイン生産地区の一つとしての評価も高まりました。
ポルトガルが爆発したのは1703年、メシュエン条約が結ばれたことから。イギリスとフランスが犬猿の仲だった江戸時代(日本)、イギリスとポルトガルの間で通商条約が結ばれたことです。ここから、ポートワインを中心としたポルトガルのワインがイギリスへ輸入され、ワインの生産が急増しました。
イギリスと切っても切れない、というのがポルトガルのワインの歴史です。
主要ワイン産地の詳細
ポルトガルには多様なワイン産地がありますが、中でも代表的な3つの地域について詳しく見ていきましょう。
ドウロ
ドウロ川の支流ドウロ渓谷に広がるこのワイン産地は、ポート・ワイン生産の中心地。トゥリガ・ナシオナル、トゥリガ・フランカ、ティンタ・ロリスなどの品種が主に栽培されており、これらはポートワインだけでなく、高品質な赤ワインの生産にも使用されています。
地理と気候
ドウロ渓谷はスペイン国境に近い内陸部に位置し、川の両岸には起伏に富んだ険しい地形が広がっています。気候は大陸性気候で夏は暑く乾燥し、冬は比較的穏やかですが、川沿いの段々畑による日射の違いで適度な温度差があります。
ポート・ワインの製造方法
ポート・ワインは、発酵途中で蒸留酒を加えて発酵を止め、残糖を残したまま貯蔵・熟成させる特殊な製法です。赤ワイン用のブドウを使い、凝縮された色と香りを持つワインになります。
主要なポート・ワインの種類と特徴
ルビー、トウニー、ヴィンテージ、コルヘイタなど様々な種類のポート・ワインが存在します。ルビーは若手で華やか、トウニーは熟成を経て重厚なスタイル、ヴィンテージは最上級の最高品質など、それぞれに個性があります。
アレンテージョ
リスボンの南東に広がるアレンテージョは、食用ぶどうの一大生産地としても知られる肥沃な大地です。近年、品質の高いスティルワインの産地としても注目が高まっています。
地理と気候
広大な平野が広がるアレンテージョは内陸部に位置し、気候は地中海性気候の影響を受ける半乾燥気候です。夏は暑く乾燥し、冬は比較的過ごしやすい気候となっています。
主要ブドウ品種
主要な赤ワイン用品種はアリカンテ・ブーシェ、トリンカデイラ、アラゴネス(テンプラニーリョ)など。白ワイン用ではアリンテ、アントン・ヴァーズなどが使われています。最近はフレンチやインターナショナル品種の使用も広まっています。
バイラーダ
ポーランド川に囲まれたバイラダ地方は、ポートガルを代表する高級ワイン産地として知られています。ポート・ワインの本場ドウロに並び、質の高いスティル・ワインが生産されています。
地理と気候の概要 大西洋に面したバイラダは温暖な気候で、内陸と海沿いでは微妙に違いがあります。土壌は花崗岩主体で排水性が良く、ブドウ栽培に適しています。
主要ブドウ品種
主要な赤ブドウ品種はバガ、トウリガ・ナシオナル、トウリガ・フランカなど。白は主にマリア・ゴメス、フェルナン・ピレスが使われています。
ミーニョ
辛口の白ワインと、軽快な赤ワインの産地。ヴィーニョ・ヴェルデの本場でもあります。ヴィーニョ・ヴェルデは、名前の通り「若いワイン」を意味し、フレッシュで軽やかな白ワインが特徴です。この地域は比較的涼しい気候で、高い降水量がブドウ栽培に影響を与えています。アルヴァリーニョやロウレイロといった品種が、フルーティで花の香りがするワインを生み出します。
リスボアとセトゥーバル
首都圏の近郊ワイン産地。屈指のワイン村マルヴィラも所在します。
アソーレス諸島
アソーレス諸島では、特にピコ島でのブドウ栽培が有名です。この地域は、ヴォルカニックな土壌と大西洋の冷涼な気候が特徴で、ユニークなミネラル感を持つワインが生産されています。ヴェルデーリョやアリントなどの品種から作られる白ワインは、鮮烈な酸味と塩味を持ち、海鮮料理とのペアリングに適しています。
以上、主なワイン産地の概要をご紹介しました。ポルトガルワインの特色は、固有の品種と気候風土が作り出す個性的な味わいにあります。様々なスタイルのワインを産するポルトガルは、まさに多様性に富む国と言えるでしょう。
代表的なぶどう
トゥリガ・ナシオナル
トゥリガ・ナシオナルは、ポルトガルワインの「王様」とも呼ばれる品種で、特にドウロ地区で栽培されています。この品種からは、構造がしっかりとしており、複雑なアロマを持つ、長期熟成に耐えうる赤ワインが生産されます。ブラックベリーやカシス、スパイス、そして花のノートが特徴で、ポルトワインだけでなく、高品質のスティルワインの生産にも使用されています。
アリカンテ・ブーシェ
アリカンテ・ブーシェは、深い色調と果実味、高いアルコール度数をワインにもたらす品種です。アレンテージョ地区をはじめとするポルトガル南部でよく栽培されています。その濃厚な色と風味は、単一品種のワインやブレンドの両方で価値を発揮します。
ヴィーニョ・ヴェルデのアルヴァリーニョ
アルヴァリーニョは、特にヴィーニョ・ヴェルデ地区で人気のある白ブドウ品種で、新鮮でフルーティーなワインを生み出します。ピーチやレモン、花のようなアロマが特徴で、酸味がはっきりとしており、若いうちに飲むのに適しています。スペイン北西部のガリシア地方でも栽培されていますが、ポルトガルのアルヴァリーニョ特有のスタイルが高く評価されています。
アラゴネス(テンプラニーリョ)
ティンタ・ロリスは、スペイン原産のテンプラニーリョと同じ品種で、ポルトガルでは特にダン地区で栽培されています。この品種は、しっかりとした構造、豊かなタンニン、そしてベリー類やプラム、タバコ、革のノートを持つワインを生み出します。ポルトガルでは、この品種を使用して、深みのある複雑な赤ワインが生産されています。
バガ
バガは、特にバイラーダ地区で栽培されており、酸度が高く、タンニンが豊富で長寿命の赤ワインを生み出すことで知られています。この品種から作られるワインは、熟成により、複雑性と滑らかさを増していきます。ベリー類、ダークチェリー、スパイスのアロマが特徴です
ポルトガル料理とのマリアージュ
前回も書きましたが・・・、ポルトガルワインを堪能するなら、ポルトガル料理との相性も外せません。七つの海を渡り、世界中から影響を受けた多様な郷土料理と、テロワールを感じさせる個性的なワインとのマリアージュを見ていきましょう。
代表的な郷土料理
・バカリャウ(塩cod魚)
ポルトガルを代表する国民食です。干物を水で戻して調理し、オリーブオイルや玉ねぎ、ポテトなどと組み合わせて様々な料理に。酸味と塩気が効いた味わいです。
・カリー料理
ポルトガルの植民地支配の影響を色濃く受けた料理です。鶏肉や牛肉、豚肉、野菜を用い、ココナッツミルク、カレー粉、オリーブオイルなどで煮込みます。
・スープ料理
トマト、玉ねぎ、ハーブ、パンを使ったポルトガル風スープは家庭料理の定番。プロシュートが入ったり、卵を落とし入れたりとアレンジも豊富です。
おすすめのワインとのペアリング
・バカリャウ料理 x 白ワイン(ヴィーニョ・ヴェルデ、アレンテージョ白)
塩味に酸味のしっかりとした白ワインが好相性。軽快なヴィーニョ・ヴェルデなら、より食べやすくなります。
・カリー料理 x 赤ワイン(アレンテージョ赤、バイラダ赤) スパイシーな味わいと力強い渋味のある赤ワインが合います。洗練された香りが楽しめるバイラダ赤がおすすめです。
・スープ料理 x ロゼワイン カジュアルな料理なのでロゼワインがよく合います。果実味とスパイシーな風味が食欲をそそります。
例えばバカリャウ・ア・ブラーザと、アレンテージョ産の白ワイン「エスポラオン・レゼルヴァ」を合わせてみましょう。魚の塩味と旨味に、白ワインの酸味と柑橘系の香りが絶妙にマッチします。
また、ポルトガル風チキンカリーと、バイラーダ地方の赤ワイン「ニーポート・レドマ・レッドワイン」は絶品です。カレーの香辛料の刺激的な風味と、赤ワインの渋みとボリューム感がバランスが取れています。
このように、ポルトガル料理とワインは相性抜群。素材の旨味を活かしつつ、お互いの個性を引き立て合うマリアージュが楽しめます。郷土料理に合わせて産地の個性的なワインを見つけるのも、ポルトガルを旅する醍醐味のひとつと言えるでしょう。
ポルトガル旅行ガイド
ポルトガルは古くからワインの国として知られ、多彩なワインを産出する産地が点在しています。観光とワインを両立できるのがこの国の魅力です。ワイナリー訪問におすすめのエリアと、ワインを楽しむ観光スポットをご紹介します。
ワイナリー訪問におすすめのエリア
ドウロ川渓谷
ドウロ川の両岸に広がるドウロ産地は、ポート・ワインの本場です。険しい地形に広がる段々畑は世界遺産にも登録されており、多くのポート・ワイン醸造所を訪れることができます。ー
アレンテージョ
広大なワイン産地アレンテージョには100を超える生産者がいます。エヴォラを中心に、老舗の名門から新進気鋭のワイナリーまで巡ることができます。ー
バイラーダ
首都リスボンの北に広がるバイラダではワイン観光が盛んです。ニーポート、フェッラデーラ、ワイラーズ、クラーラなどの歴史ある醸造所はすばらしい景観を誇ります。地理的にアクセスも良好です。
観光名所とワインを楽しむスポット
リスボン市内
首都には名門ワインバーが多数軒を構えています。気軽にポルトガルワインを味わえるスポットとしてオススメです。名物の缶詰の店「コンセルヴァリア・デ・リスボア」も有名です。
ポルトの空の広場
世界遺産のリベイラ地区にあるこの日陰広場では、地元ポート・ワインを飲みながら街の景色が楽しめます。
マデイラ島
マデイラ・ワイン発祥の地、この小さな島はブドウ畑に囲まれています。ワイナリー見学とマデイラ・ワインを味わうことができます。
このようにポルトガルでは、ワイン観光とたっぷりの食文化が満喫できるのがうれしいポイントです。一度は訪れてみたい、ユニークな国です。
まとめ
世界的に人気が高まる中で、ポルトガルワインを肴に同国の豊かな食文化を味わうのはとてもおすすめです。個性溢れる土地そのものを感じさせる香りと味わいを、存分に堪能していただければと思います。
歴史と伝統に裏打ちされた確かな品質、そしてポルトガルらしい多様性が魅力のこの国のワインに、さらに光が当たることを期待したいですね!
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