ステーキ=赤ワインの常識を疑ってみる
「ステーキには赤ワイン」――この組み合わせは、ワイン好きでなくても知っている定番のマリアージュ。しかし、本当にいつでもどんなステーキにも赤ワインがベストな選択肢なのでしょうか?ソムリエの視点から、意外なペアリングの可能性を探ってみましょう。

ステーキの種類と赤ワインの相性
まず、ステーキと赤ワインが合う理由を整理しましょう。
- 脂とタンニンのバランス
赤ワインには渋み成分(タンニン)が含まれており、これが肉の脂と調和し、味わいにメリハリを生み出します。 - グリル香との相乗効果
ステーキの香ばしさと赤ワインのスモーキーな香りが互いを引き立てるため、風味の一体感が生まれます。
しかし、ステーキと一言で言っても、部位や焼き加減、調味によって最適なワインの種類は変わります。
意外と合う白ワイン&ロゼのペアリング
① ヒレ×リッチなシャルドネ
脂肪分が少なく、上品な味わいのヒレ肉は、タンニンが強すぎる赤ワインよりも 樽熟成したシャルドネ との相性が抜群。シャルドネのクリーミーな質感とバター風味が、赤身の旨みを引き立てます。
おすすめワイン
- 「シャブリ プルミエ・クリュ レ・ヴァイヨン」(フランス・ブルゴーニュ)
→ 樽の香ばしさとミネラル感がヒレの繊細な旨みを支える
② サーロイン×辛口ロゼ
サーロインの脂の甘みには、タンニンが強すぎない ロゼワイン が意外に合います。とくにプロヴァンスやスペインの辛口ロゼは、フレッシュな酸が脂をスッキリと流し、バランスを取ってくれます。
おすすめワイン
- 「シャトー・ミラヴァル ロゼ」(フランス・プロヴァンス)
→ ほのかな赤系果実の香りと塩味が、サーロインのリッチな味わいとマッチ
③ 和牛×オレンジワイン
和牛のように脂が多く、旨みが豊かな肉には オレンジワイン(白ぶどうを赤ワインのように皮ごと発酵させたワイン)が好相性。和牛の甘い脂に寄り添いながら、ワインのわずかな渋みが全体のバランスを取ります。
おすすめワイン
- 「ラ・ストッパ アジェーノ」(イタリア・エミリア・ロマーニャ)
→ 杏やナッツの香りが和牛の旨みを引き立てる

赤ワインでも軽め&酸味のあるタイプが◎
もし赤ワインを選ぶなら、タンニンが強すぎないフレッシュな酸をもつワインが意外とステーキとマッチします。
④ ランプ×ピノ・ノワール
赤身が多く、あっさりとしたランプ肉には、果実味豊かで軽やかな ピノ・ノワール が好相性。ブルゴーニュやニュージーランドのピノ・ノワールなら、肉の味を引き立てつつ、飲み疲れしません。
おすすめワイン
- 「アタ・ランギ ピノ・ノワール」(ニュージーランド)
→ 華やかな香りと酸味がランプ肉のジューシーさと調和
ステーキのペアリングはもっと自由に
「ステーキには赤ワイン」という常識は、確かに理にかなっていますが、それだけではもったいない!脂の量や部位、焼き方に合わせて、白やロゼ、オレンジワインを選ぶことで、新しいペアリングの楽しみが広がります。次のステーキディナーでは、ぜひ意外なワインとの組み合わせを試してみてください。