イクラとワインのペアリング:日本酒だけじゃない意外な組み合わせ

ワイン

こんにちは、ワインエキスパートのTAKUMAです。イクラとワインのペアリングについて解説します。

先週末、我が家で開いたホームパーティーのテーマは「和の食材とワインの新しい関係」。ゲストが持ち寄ってくれた小鉢のひとつが「イクラの醤油漬け」でした。パッと見た瞬間、反射的に「これは冷やした純米吟醸かな」と思ったのですが、「いや、今日はワイン縛りでいこう」と決めていたので、いろいろと試してみました。

正直、魚卵はワインと合わせにくい。そう思い込んでいたのですが、それは昔の話。ワインの選び方次第で、魚卵特有の臭みも、むしろ旨味の一部として昇華されることを発見したのです。

今回は「日本酒だけじゃない、イクラとワインの意外な相性」について、魚卵ならではの課題も含めて、じっくり深掘りしてみます。


◆ なぜ魚卵はワインと合いにくいと思われてきたのか?

イクラに限らず、タラコ・明太子・数の子といった魚卵類は、ワインとの相性が難しいとされてきました。その理由は大きく3つあります。

1. 魚卵特有の生臭さ・鉄っぽさ

魚卵には、独特の鉄分やアミノ酸の香りが含まれており、それがワインのタンニンや酸味とぶつかってしまうことがあります。特に赤ワインとは相性が悪いとされる原因です。

2. 塩分の強さ

醤油漬けや塩漬けのイクラは、塩味が強め。その塩気がワインのフルーティさや繊細な香りをかき消してしまうことも。

3. 脂質と香りのバランス

イクラは脂質も多く、口の中でぬるっと広がるテクスチャーがあります。これに対応できる酸味や泡の構造を持ったワインでないと、重たく感じてしまうのです。


◆ ワインで魚卵の臭みを“消す”のではなく、“活かす”には?

コツはシンプルで、「臭みを中和」するのではなく、「旨味として寄り添う」ワインを選ぶことです。たとえばこんなポイントがカギになります。

  • 酸が強いワイン:臭みや油分をさっぱりと流す
  • 泡のあるスパークリング:食感のリズムを整える
  • ミネラル感のあるワイン:イクラの塩味と調和する
  • ニュートラルな香りの白ワイン:臭みと競合せず、寄り添う

◆ 魚卵に合うワインのタイプ別ペアリング

① ロゼスパークリング(辛口)

ロゼ特有の赤果実の香りと、泡の繊細な刺激が、魚卵の臭みをやわらげ、余韻に華やかさを添えてくれます。臭みをかき消すのではなく、「もう一口」と思わせる流れをつくってくれる存在。

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「ペレ・ベントゥーラ トレゾール ブリュット ロゼ」
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② シャブリ(フランス・ブルゴーニュ)

キリッとした酸味と石灰質土壌由来のミネラル感が、醤油漬けイクラに内在する旨味を引き出します。後味の余韻がクリアで、臭みを引きずりません。

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「ジャン・マルク・ブロカール シャブリ サント・クレール」
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③ グリューナー・ヴェルトリーナー(オーストリア)

グリューナーのハーバルさや白コショウの香りは、魚卵の生臭みと拮抗しながらも、最後は旨味として同調してくれます。熟成タイプならさらに複雑さが加わり◎

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「ニコライホーフ グリューナー・フェルトリーナー フェーダーシュピール」
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④ シャンパーニュ(ブラン・ド・ブラン)

シャルドネ100%の上品な酸とミネラルが、魚卵臭をエレガントに包み込みます。また、わずかに感じるトースト香が、醤油やイクラの熟成感とマッチ。

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「アグラパール ブラン・ド・ブラン テロワール」
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◆ ペアリング実例:魚卵の臭みを逆手に取る料理法

● クリームチーズ+イクラのカナッペ

臭みが気になる場合、乳製品の脂肪分が臭いを包み込んでマイルドにしてくれます。泡系や白ワインに合わせてどうぞ。

● 瞬間燻製したイクラ

スモークの香りを加えることで、ワインとの一体感がアップ。シャルドネ系や熟成ロゼとよく合います。

● いなり寿司+イクラ

甘辛い揚げと塩味のコントラストがワインとの相性を良くします。特にシャンパーニュとは相思相愛です。


魚卵はワインと「合わない」食材じゃない

たしかに、魚卵はペアリングの難しい食材です。しかし、だからこそ選び方次第で「ペアリングの醍醐味」が味わえる相手でもあります。イクラの濃厚な旨味と、ワインの酸・泡・香りがかけ合わさることで、まるでアートのような一皿に昇華するのです。

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