ワインは世界中で愛されていますが、時にその味を損ねてしまう「オフフレーバー」が出てしまうことがあります。
オフフレーバーとは、ワインに本来あるべきでない異常な味や香りのことを指します。ワインは非常にデリケートな酒であり、ブドウ栽培から醸造、瓶詰め、保管、そしてグラスに注がれるまでの過程で、さまざまな要因によりオフフレーバーが発生する可能性があります。
オフフレーバーが出てしまったワインを飲むと、本来の味わいを損ねており、がっかりした気分になります。一般的に知られているオフフレーバーには、TCA(トリクロロアニソール)による”コルク臭(ブショネ)”、酢酸臭、硫黄臭、還元臭など、さまざまな種類があります。
この記事では、オフフレーバーとはどのようなものか、一体どのような原因から発生するのか、代表的なオフフレーバーの例と特徴、そしてそれらを防ぐにはどうすればよいのかを解説していきます。ワインを心から楽しむために、オフフレーバーについて学んでいきましょう。
オフフレーバーとは
オフフレーバーとは、ワインに本来あるべきでない異常な味や香りのことを指します。ワインは非常にデリケートな酒であり、ブドウの育成から瓶詰め、保管に至るまで、さまざまな要因でオフフレーバーが発生する可能性があります。
一般的に知られているオフフレーバーには以下のようなものがあります。
- コルク臭(ブショネ): 瓶の口にあるコルクに付着したカビによって発生する、軽いゴム臭や湿った古新聞のような臭い。
- 還元臭: 温泉卵、マッチ棒のような硫黄臭。酸素に触れていない、など、様々な理由がある。スクリューキャップにありがち。あえて還元的に作る生産者も。
- ブレタノミセス:トンネルのコンクリート臭や古い小便の臭い。酵母の代謝産物が原因。
このようにさまざまな臭いや味が付随するオフフレーバーは、ワインの品質を著しく損ねてしまうこともあります。本来のワインの香りや味わいを楽しめなくなってしまうことが多いです。
原因
オフフレーバーが発生する原因は大きく3つに分類できます。
a. 瓶詰め前の原因
- 健全でないブドウを使うと、その影響でオフフレーバーが出る可能性があります。 例えば灰色かび病に冒されたブドウは納屋臭が出ます。
- 設備の不衛生や温度管理の失敗で、酢酸菌や乳酸菌など有害な雑菌が繁殖すると、酢酸臭や酪酸臭が発生します。 また亜硫酸塩の使い過ぎは硫黄臭の原因になります。
b. 瓶詰め後の原因
- コルクに付着したカビの一種が、ブショネを発生させます。
- 過度の熱や光で酸化が進むと、酢酸臭が出たり、香りが失われます。
c. グラスに移してからの原因
- グラスに残った洗剤の臭いや、前に注がれていたワインの臭いが移ってしまいます。
- 強い香りの料理を食べた後だと、その臭いがワインに移ってオフフレーバーになります。
このように、ブドウ育成から醸造、保管、そしてグラスに注ぐ最終段階に至るまで、さまざまな要因がオフフレーバーの原因になり得ます。
オフフレーバー例と解説
ここでは代表的なオフフレーバーを3つ取り上げ、具体的な例も交えながら詳しく解説していきます。
(1)ブショネ
最もよく知られているオフフレーバーの一つが、TCAによるブショネです。TCAはコルクに付着したカビが生成する物質で、軽いゴム臭や湿った古新聞のような臭いがするのが特徴です。ブショネを嫌うため、スクリューキャップを使う生産者も増えてきました
(2) 揮発酸
ワインには酢酸や酢酸エチルなどの揮発酸が存在しますが、不快臭としてされているのは主に酢酸、ならびに酢酸エチルです。酢酸エチルは揮発性の液体でパイナップルのような果実臭があり、高濃度になると接着剤や除光液のような刺激臭がします。
また、ワインに含まれる酸がブレタノミセスという微生物と反応することで馬小屋のような臭いを産み出します。この酵母はワイン造りの中で必ず存在すると言われています。
酸化したワインは、色が褐変し(メイラード反応と呼ばれる現象)、焦げ臭、老酒や醤油の様なにおい、カラメルのような香り「ひね香(老香)」が感じられます。
(3) 還元臭
硫黄のような香り。ワインを酸素と触れない還元的な状態に置くことで発生するとされています。ワイン造りは還元的に行われる傾向が強くなっているため、軽度の還元臭は意図されて作られている場合もあります。酸素を通しづらいスクリューキャップには比較的多い香りです。
オフフレーバーに出会ったら
オフフレーバーはワインの味を大きく損ねてしまいます。一方でオフフレーバーに出会ったら、以下のような方法で少しでも美味しく飲めるような工夫は可能です。
(1)ブショネ
空気に触れさせる/返品をお願いする(レストランなら)
※このために、ブショネと判別できるよう、どのワインがブショネか分かるよう、学んでおく必要があります。
(2)ブレタノミセス
やや低い温度で提供する/デキャンタージュ/ペアリングを考える(濃厚なチーズやスパイシーな料理)
(3)還元臭
酸素に触れて待つのが基本。そのためデキャンタージュやスワリングをして末
これらのオフフレーバーが発生する原因は、ブドウ栽培時の病虫害、醸造工程での雑菌汚染や温度管理の失敗、古いコルクの使用、不適切な保管環境、グラスの洗浄不足や食べ物の影響など、多岐にわたります。
しかし、この問題に対して、ワイン業界では様々な対策が行われています。適切なブドウ栽培と衛生的な醸造管理、コルクの選別とワインの適正保管、グラスの手入れとワインの取り扱いへの注意喚起、そして最終的な品質チェックなどが徹底されているのです。
オフフレーバーの原因は一つ一つ明らかになってきており、その発生メカニズムが解明されつつあります。生産者は常にこの問題への警戒心を持ち続け、消費者に最高のワインを提供できるよう努力を重ねています。
ワインは人間の手により、細心の注意を払いながら作り上げられる芸術品です。そのワインの魅力を存分に味わうためにも、私たちはオフフレーバーについて理解を深め、その問題解決に向けた取り組みを支持していく必要があるのではないでしょうか。
そして、オフフレーバーに気付いたら、デキャンタージュしたり、飲むのを待って置いてみたりして、出来るだけ本来のワインの味を余すところなく楽しみましょう。
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