コルクとスクリューキャップ

ワイン

ワインの閉栓方法には、大きく分けて2つあります。もちろんコルクとスクリューキャップです。

特にオーストラリアやニュージーランドのワインに、スクリューキャップが多いのですが、それではスクリューキャップとコルクの違いは何なのでしょうか?調べてみました。スクリューキャップ=安いワイン、のような誤解もあるので、ぜひご覧ください。

コルク栓の世界

コルク栓は数世紀にわたり主流であり続けています。その起源は古代に遡り、自然界から採取されるコルク樫の樹皮から作られるこの天然素材は、その独特の性質からワインの熟成過程で重要な役割を果たしています。

特徴と利点

透過性

コルクは微量の酸素を通す性質があります。酸素がワインに透過させることで、ワインが瓶内でゆっくりと熟成し、風味が丸く、複雑性が増すのを助けます。これが非常に重要なポイントです。

伝統と品質の象徴

多くの人々にとって、コルク栓は伝統と高品質ワインの象徴です。やっぱりコルクになんとなくの高級感を感じてしまうものです。

課題

ブショネの原因に

コルク栓の不良が原因でワインに不快な香りや味の劣化が生じることがあります。いわゆるブショネです。

品質のばらつき

天然素材であるため、コルクの品質にばらつきがあります。これにより、同じ生産者、銘柄、ビンテージでも熟成の段階で味にばらつくことがあります。

コルク栓は、いまだに高級ワインや伝統的なワイン地域で好まれることが多く、古典的な品質と手作業による製造の象徴と見なされており、特に年代物のワインや熟成を要するワインにつかわれます。

スクリューキャップの登場

スクリューキャップは20世紀に入ってからワインの瓶詰めに使用され始め、特に新世界のワイン産地ではその利用が広がっています。

特徴と利点

品質の一貫性

スクリューキャップは工業製品であり、品質の一貫性が保たれます。

保存性

酸化を防ぐ効果が高く、フレッシュな風味を長期間維持することができます。

利便性

開けやすく、再封可能であるため、飲むほうからすると非常に便利です。

課題

熟成の限界

スクリューキャップは酸素の透過性が低いため、瓶内熟成による熟成という点で、コルク栓に劣る場合が多いです。※ただし、近年は透過性の高いスクリューキャップも出てきているので、この限りではありません。

伝統への抵抗

スクリューキャップをワインの品質よりも経済性重視であると見なす生産者やワイン愛好家もいます。つまり、安っぽいと決めつけるということです。

スクリューキャップには、一般的には、フレッシュなワインに使われることが多いです。酸化熟成しにくいからです。また、ブショネになりにくいのもメリットです。また、新世界の生産者が、革新性のメッセージを持たせたい場合に使われるケースもあります。コルク栓より安価なので、消費者のお財布にも優しいというメリットがあります。

オーストラリアとニュージーランドにおけるスクリューキャップの事情

この2か国は、特にスクリューキャップを採用しているワインが多くなっています。この地域のワイン生産者は、スクリューキャップの利点を早い段階で認識し、広く採用することで、世界的なワイン市場における品質の維持と革新的イメージのブランディングに成功しています。

クレア・ヴァレーの生産者13社が、2000年ビンテージから、白ワインへのスクリューキャップの採用を宣言して以来、オーストラリアではスクリューキャップの使用を大幅に増加しました。これが世界中に、スクリューキャップ増加のムーブメントを起こしたと言えます。オーストラリアの生産者たちは、コルクによるブショネに対する解決策等を考慮してスクリューキャップを選んだのです。高品質なシラーズやカベルネ・ソーヴィニヨンを含む、高級ワインにも積極的にスクリューキャップを採用しています。これにより、オーストラリア産ワインの品質が国際市場で高く評価される一因となっています。

終わりに

コルクとスクリューキャップ、それぞれの特徴、メリット、課題があります。ワインの種類、目的、市場、さらには哲学や環境への配慮によって、どちらの瓶詰め手法が適しているかが変わってきます。最終的には、ワイン生産者がそのワインにとって最適な選択をすることが大切であり、消費者としては、それぞれの手法がワインの品質と楽しみ方にどのように影響を与えるか、自分の好みも理解して選ぶことが重要です。コルク栓のワインが必ずしもスクリューキャップのワインより優れているわけではなく、逆もまた真です。実際、多くの高品質なワインがスクリューキャップで提供されており、消費者間で受け入れられつつあります。

また、ワインの選択においては、保存条件や飲用のタイミングも重要な要素です。スクリューキャップは密封性が高く、若くフレッシュなワインを短期間で楽しむのに適しています。一方で、コルク栓のワインは、適切な条件下で長期間の熟成を経ることで、その複雑さと風味の深みを増す可能性があります

結論として、コルク栓とスクリューキャップのどちらが「ベスト」かを一概には言えません。優劣はないのです。ワインの楽しみ方は多岐にわたり、その多様性こそがワインの魅力なので、この多様性を楽しみながら、自分にとって最適なワインを見つけ出すことができる知識と経験を積むが大切です。

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