大好きなアルザスワイン。白くて高貴でフルーティなワイン産地。
本日は、アルザスワインについて簡単にまとめました。フランス東部、ドイツ国境に位置するアルザス地方は、質の高い白ワインの産地として世界的に知られています。アルザスワインの最大の魅力は、そのエレガントでありながら芳醇な味わいにあります。
アルザスはフランス国内でも指折りの白ワイン産地で主要品種はリースリング、ゲヴュルツトラミネール、ピノ・グリなどの高品質な白ブドウ品種です。アルザスの白ワインは、フローラルで果実味豊かな香りと、しっかりとしたミネラル分を感じさせる旨味、そして適度な酸味のバランスが絶妙です。
アルザスは狭長い地形で、ヴォージュ山脈と川に囲まれた穏やかな気候が、理想的なブドウ栽培に恵まれた環境を作り出しています。太陽の恵みを受けつつ、夜は冷えた空気が降りてきて温度が下がる寒暖差により、ブドウはゆっくりと熟し、酸味と香りの調和がとれた味わい深いワインになるのです。
こうしたアルザスならではの土地柄と気候風土が、世界に誇れる上品で芳香豊かな白ワインを生み出しているのがアルザスワインの最大の魅力です。
アルザスワインの歴史
アルザスは古くからワイン造りの地として知られ、ワイン文化の歴史は2000年近く前にさかのぼります。当時はローマ人がこの地にブドウ栽培を持ち込み、やがてワイン生産が始まったとされています。
中世に入ると、アルザスはドイツ系の人々が支配する地域となり、ワイン造りはさらに発展を遂げました。15世紀にはリースリングが作られていたようです。
やがてフランスとドイツの領土をめぐる確執の末、17世紀にアルザスはフランス領となります。以後、ピノ・グリ、ゲヴェルツトラミネールなどの代表的なぶどうが植えられるようになりました。
ドイツとフランス2つの文化の影響を受けたのがアルザスワインです。
アルザスワインの特徴
アルザスは白ワインの産地として知られ、生産量の90%以上を白ワインが占めています。リースリング、ゲヴュルツトラミネール、ミュスカ、ピノ・グリの4つが上質指定品種といわれ、それ以外もピノ・ブランやシルヴァネール、黒ブドウではピノ・ノワールが多く作られています。ドイツと近い品種ですね。。
リースリングは辛口で、レモンやライムを思わせる爽やかな酸味とミネラル香が特徴的です。ゲヴュルツトラミネールはトロピカルフルーツのような芳醇な香りと甘みが感じられ、辛口から極甘口まで幅広いスタイルがあります。
ピノ・ブランは白い花や洋梨を連想させる優雅な香りと、上品でドライな味わいです。ピノ・グリは繊細でフレッシュな酸味とフルーツの香りが楽しめる軽快な味わいが印象的です。
このように品種ごとに味わいの個性は異なりますが、共通する特徴としては、上品で芳醇なアロマと味わい、適度なミネラル分と酸味のバランスが良いことが挙げられます。アルザスワインは食事と相性が良く、白身の魚介料理や穀物料理によく合います。
また、アルザスは山と川に囲まれた独特の気候風土を持ち、昼と夜の気温差が大きいデイナイト現象が起こりやすい環境です。このおかげでブドウはゆっくりと熟し、果実味と酸味のバランスが取れた味わい深いワインになるのです。
アルザスワインの分類と読み解き方
アルザスワインはフランスのAOC制度に則って生産されています。AOPの規定では、使用可能な品種、収穫量の上限、醸造方法などが厳しく定められています。収穫量の制限、手摘み収穫の義務など、栽培方法が細かく決められています。
AOCは分かりやすく、51のグランクリュ、スティルワインのAOCアルザス、スパークリングワインのクレマンダルザスの3つしかありません。
グラン・クリュは特に優れた区画のブドウから造られたワインで、フランス国内で最高の格付けを受けています。ラベル中央に「グラン・クリュ」と大きく表記され、その下に特級畑の畑名が記載されることが一般的です。
グラン・クリュには51の特級畑があり、それぞれの畑で個性的な味わいのワインが生み出されています。ゾッツェンベルクやケフェルコプフなどが有名です。
クレマンダルザスは人気のスパークリングで、フランス国内で消費されるクレマンの1位になっています。9か月以上の瓶内二次発酵が義務付けられています。
アルザスワインの楽しみ方
まずアルザスワインの基本は、フレッシュな果実味と上品な香りを楽しむことができるしっかりとした辛口白ワインです。リースリングやピノ・ブラン、ピノ・グリはこのスタイルが一般的で、料理と合わせて楽しむのがおすすめです。
一方、貴腐ブドウを使ったり、澱と長期熟成をさせたりすることで、アルザスワインはリッチで凝縮された味わいを表現します。代表的なのがゲヴュルツトラミネールで、トロピカルフルーツのようなはちみつ香と芳醇な甘味が特徴的です。デザートワインとしても素晴らしい逸品があります。
甘口ワインには規定があり、「ヴァンダンジュ・タルディヴ」「セレクション・ド・グラン・ノーブル」の2つに大別されます。
「ヴァンダンジュ・タルディヴ(Vendanges Tardives)」は、収穫を遅らせてブドウを濃縮させたリッチで凝縮した味わいの甘口ワインです。
「セレクション・ド・グラン・ノーブル(Sélection de Grains Nobles)」は、最高級の甘口で、貴腐ブドウのみを使用した究極のデザートワインです。
それぞれ糖分の最低含有量が決まっています。
おわりに
アルザスは2000年以上に渡るワイン文化の歴史を持つ、フランス最高の白ワイン産地です。険しいヴォージュ山脈と川に囲まれた独特の地形と気候は、品種の個性を存分に引き出した上品で芳醇な白ワインを生み出しています。
リースリング、ゲヴュルツトラミネール、ピノ・グリなど主要品種それぞれが持つ繊細で洗練された味わいは、ミネラル分と酸味のバランスに優れ、料理とも好相性です。
また、アルザスワインは醸造方法の違いにより、フレッシュな辛口から贅沢な極甘口、樽香を楽しめるオークスタイルまで、表情豊かな味わいを堪能できます。
フランス東部の小さな地域ながら、長い歴史と豊かな文化、エレガントなワインを持つアルザスは、格別の魅力に溢れたワイン生産地です。
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