メンシアの起源と歴史
メンシア(Mencia)は、スペイン北西部のガリシア地方やカスティーリャ・イ・レオン地方で栽培される赤ワイン用のブドウ品種です。中世には修道士たちによって広められたと言われています。しかし、20世紀に入り、この品種の評価は一時的に低迷しました。それは主に高収量を優先する栽培方法が取られ、質より量が重視されたためです。しかし、1980年代後半から1990年代にかけて、品質にこだわる生産者たちが現れ、メンシアの再評価が進みました。
メンシアの特徴
メンシアのワインは、一般的に中程度の酸味とタンニンを持ち、フレッシュな赤系果実のアロマが特徴です。特にチェリー、ラズベリー、クランベリーなどの香りが顕著で、場合によっては花のような香りやハーブのニュアンスも感じられます。ワインは通常、中程度のボディであり、軽やかで飲みやすいスタイルから、しっかりとした構造を持つエレガントなスタイルまで多様です。
主な産地とその特性
メンシアの主な産地には、ビエルソ(Bierzo)、バルデオラス(Valdeorras)、リベイラ・サクラ(Ribeira Sacra)、モンテレイ(Monterrei)などがあります。特にビエルソのメンシアの評価が、国際的にも高くなっています。
- ビエルソ:この地域は、メンシアの最も有名な産地で、粘土質やスレート土壌が多いことから、豊かな果実味としっかりとした骨格を持つワインが生まれます。
- バルデオラス:ここでは、石灰岩や花崗岩土壌が見られ、よりフローラルでエレガントなスタイルのメンシアが生産されます。
- リベイラ・サクラ:急峻な斜面で栽培されるメンシアは、ミネラル感が強く、複雑な風味を持つのが特徴です。
メンシアと料理のペアリング
例えば、軽やかなスタイルのメンシアは、タパスや軽めの肉料理、鶏肉料理とよく合います。一方、よりしっかりとしたスタイルのメンシアは、ラム肉や牛肉のグリル、煮込み料理とも相性抜群です。また、ガリシア地方の名物料理であるパドロン・ペッパーやプルポ・ア・フェイラ(ガリシア風タコ)とも絶妙なペアリングを楽しむことができます。
メンシアの未来
メンシアは、質を追い求める生産者や消費者が増えたことで、国際的にも注目を集めています。今が旬の黒ブドウの1つと言っていいでしょう。特に若手の生産者たちが伝統と革新を融合させ、ユニークなスタイルのメンシアを生み出しています。今後、メンシアはさらに多くのワイン愛好家に認知され、その評価は一層高まっていくと思っています。