【スパークリングワインの種類と特徴を徹底解説!】

ワインの基礎と知識

スパークリングワインと聞いて、あなたはどんなシーンを思い浮かべますか?特別な記念日やお祝いの席、あるいは日常のちょっとした贅沢として楽しむ人もいるでしょう。シュワシュワと立ちのぼる繊細な泡が、グラスの中で踊る姿は、それだけで気持ちを華やかにしてくれます。

こちらはドゥラモット。

ひとくちにスパークリングワインと言っても、その種類はさまざま。産地や製法によって味わいや個性が大きく異なります。今回は、スパークリングワインの代表的な種類と特徴について、じっくり解説していきましょう。


スパークリングワインとは?

スパークリングワインは、炭酸を含んだ発泡性のワインのこと。泡の正体はワイン内に閉じ込められた二酸化炭素です。その泡を生み出す方法にはいくつか種類があり、瓶内で二次発酵を行う「トラディショナル方式(瓶内二次発酵)」や、密閉タンク内で発酵させる「シャルマ方式」などがあります。

泡の細かさや持続性、味わいの奥行きは製法によって大きく変わります。同じスパークリングワインでも、どの産地でどんな製法が採用されているかによって、全く異なる表情を見せてくれるのです。

スパークリングワインの発酵方法による違い

スパークリングワインが生み出す繊細な泡。その美しい発泡の仕組みは、ワイン造りの過程でどのように炭酸を閉じ込めるかによって決まります。スパークリングワインの発酵方法には主に 「瓶内二次発酵」「シャルマ方式(二次発酵をタンクで行う方法)」 という2つの代表的な製法があり、それぞれの製法によってワインの味わいや泡の質感が大きく異なります。


① 瓶内二次発酵(トラディショナル方式)

瓶内二次発酵は、シャンパーニュやカヴァ、フランチャコルタといった高品質なスパークリングワインに用いられる伝統的な製法です。この製法では、ワインを瓶に詰めた後、瓶の中で二次発酵を行い、その過程で発生した炭酸ガスをワインに閉じ込めます。

瓶内二次発酵のプロセス

  1. 一次発酵(スティルワインの造り)
    まず、通常のワイン(スティルワイン)を造ります。この時点ではまだ発泡性はありません。
  2. 二次発酵のための糖分と酵母を添加
    ベースワインに糖分と酵母を加えて瓶詰めし、密閉します。これによって瓶の中で再び発酵(二次発酵)が始まり、発生した炭酸ガスがワインの中に溶け込みます。
  3. 熟成(シュール・リー)
    二次発酵後、ワインはそのまま瓶の中で長期間熟成されます。発酵を終えた酵母が澱(おり)としてワインと接触し続けることで、複雑な味わいとクリーミーな泡立ちが生まれます。シャンパーニュの場合、最低でも15ヶ月、ヴィンテージものなら3年以上の熟成が義務付けられています。
  4. ルミアージュ(動瓶)
    澱を取り除くため、瓶を少しずつ傾けながら回転させ、澱を瓶の口の部分に集めます。
  5. デゴルジュマン(澱抜き)
    瓶の口を冷却し、固まった澱を取り除きます。その後、必要に応じて甘さを調整するためのリキュールを加え、コルクで栓をします。

瓶内二次発酵の特徴

  • 泡が細かく、長く持続する
  • 酵母との長期接触により、ブリオッシュやナッツのような複雑な香りが生まれる
  • よりクリーミーな舌触りと深みのある味わい

代表的なワイン

  • シャンパーニュ(フランス)
  • カヴァ(スペイン)
  • フランチャコルタ(イタリア)
  • クレマン(フランス各地)

② シャルマ方式(タンク内二次発酵)

シャルマ方式は、20世紀初頭に開発された製法で、主にプロセッコやドイツのゼクトなどのスパークリングワインで用いられます。瓶内ではなく 大きな密閉タンク で二次発酵を行うのが特徴です。

シャルマ方式のプロセス

  1. 一次発酵でベースワインを造る
    まず通常のワインを造ります。
  2. 密閉タンク内で二次発酵
    ベースワインに糖分と酵母を加え、大きなタンクの中で二次発酵を行います。タンク内で発生した炭酸ガスがワインに溶け込みます。
  3. 短期間の熟成後、ろ過して瓶詰め
    瓶内二次発酵のように長期間熟成させることはなく、比較的短期間(数週間〜数ヶ月)の熟成で澱を取り除き、瓶詰めされます。

シャルマ方式の特徴

  • 短期間で大量生産が可能なため、価格が比較的安価
  • 果実味がよりフレッシュでフルーティーな仕上がり
  • 泡はやや粗めで、持続時間が短め

代表的なワイン

  • プロセッコ(イタリア)
  • アスティ・スプマンテ(イタリア)
  • ゼクト(ドイツ・オーストリア)

③ その他の発泡方法

アンセストラル方式(メトード・アンセストラル)

「先祖伝来の製法」という意味を持つこの方法は、シャンパーニュの伝統的な製法よりもさらに古いもの。一次発酵が完全に終わる前に瓶詰めし、そのまま発酵を継続させて炭酸ガスをワインに閉じ込めます。シャンパーニュのような澱抜きを行わないため、ワインにはオリが残り、ナチュラルな味わいに仕上がります。

代表的なものに 「ペット・ナット(Pétillant Naturel)」 があります。近年のナチュラルワインブームとともに人気が高まっています。

炭酸ガス注入方式

スパークリングワインの中には、二次発酵を行わず、外部から炭酸ガスを人工的に注入するものもあります。ソーダのように泡立ちが強く、軽やかな飲み心地ですが、泡の持続性が低く、奥行きのある味わいにはなりません。主にリーズナブルなスパークリングワインやスパークリング清酒などに使われます。


発酵方法による味わいの違い

  • 瓶内二次発酵 は、細かくクリーミーな泡と、熟成による複雑な味わいを持つ。
  • シャルマ方式 は、フルーティーでフレッシュな味わいが魅力。
  • アンセストラル方式 は、ナチュラルで素朴な風味とオリの影響を感じられる。
  • 炭酸ガス注入方式 は、シンプルで軽快な飲み口だが、奥行きは少ない。

このように、スパークリングワインは発酵方法によって個性が大きく変わります。あなたの好みや、シーンに合わせて、最適な製法のスパークリングワインを選んでみてください!


世界のスパークリングワインの種類と特徴

シャンパーニュ(Champagne)

スパークリングワインの王様とも言えるのが、フランス・シャンパーニュ地方で造られる「シャンパーニュ」。法律で定められた厳格なルールのもと、瓶内二次発酵によって生み出されるその泡は非常に繊細でクリーミー。シャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエという3品種が主要なブドウとして使われ、熟成を経て複雑でリッチな味わいを生み出します。

シャンパーニュの魅力は、特有のブリオッシュやナッツのような香ばしさと、酸味のバランスの良さにあります。特別な日の乾杯に選ばれることが多いですが、食事と合わせても素晴らしいポテンシャルを発揮するのがシャンパーニュの魅力。例えば、牡蠣や寿司といった魚介類と合わせると、ワインの持つミネラル感と酸が絶妙に調和します。

おすすめは「ルイ・ロデレール ブリュット・プルミエ」や「ボランジェ スペシャル・キュヴェ」。エレガントで奥行きのある味わいが楽しめます。


クレマン(Crémant)

シャンパーニュ以外のフランス各地で造られるスパークリングワインが「クレマン」です。クレマン・ド・ブルゴーニュやクレマン・ド・ロワールなど、産地によって特徴が異なりますが、どれもシャンパーニュと同じ瓶内二次発酵で造られているため、品質は非常に高いものが多いです。

ブルゴーニュのクレマンはシャルドネ主体でシャンパーニュに近いスタイルですが、ロワールのクレマンはシュナン・ブランを使うことで、よりフルーティーで爽やかな印象に仕上がっています。比較的リーズナブルな価格で楽しめるのも嬉しいポイントです。

普段の食事にも合わせやすく、気軽にシャンパーニュのような味わいを楽しみたい人には、ぜひおすすめしたいカテゴリーです。


カヴァ(Cava)

スペインが誇るスパークリングワイン「カヴァ」は、シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵で造られるにもかかわらず、驚くほど手頃な価格で楽しめるのが特徴。スペイン固有のブドウ品種であるマカベオ、チャレッロ、パレリャーダを主体に、フレッシュで果実味豊かな仕上がりになります。

カヴァは、カジュアルなパーティーや普段の食卓にぴったり。特に、スペイン料理のパエリアや生ハムと合わせると、カヴァのフルーティーな風味が食材の旨みを引き立ててくれます。

「フレシネ コルドン・ネグロ」や「カン・スピン カヴァ ブリュット」は、コスパも抜群で気軽に楽しめる一本です。


プロセッコ(Prosecco)

イタリアのヴェネト州で造られる「プロセッコ」は、シャルマ方式(タンク内二次発酵)によって造られるため、シャンパーニュやカヴァに比べて泡が柔らかく、フルーティーで爽やかな味わいが魅力です。グレーラというブドウ品種を使用し、青リンゴや洋ナシのようなフレッシュな香りが特徴。

軽やかで飲みやすいため、食前酒として楽しむのはもちろん、ピザや軽いパスタなどカジュアルな料理との相性も抜群です。おしゃれな昼下がりのアペリティフとしても最適。

おすすめの一本は「ヴィッラ・サンディ プロセッコ・ブリュット」。フレッシュな果実味が心地よく広がります。


スパークリングワインの選び方

スパークリングワインを選ぶときに注目したいのが「甘辛度」と「シーン」。甘辛度は「ブリュット(辛口)」が一般的ですが、「エクストラ・ドライ」はやや甘口で飲みやすく、「ドゥミ・セック」になるとデザートワインとしても楽しめます。

また、シーンによって選び方を変えるのもポイント。特別な日にはシャンパーニュやフランチャコルタを、日常使いにはカヴァやプロセッコを選ぶとコスパも良く、さまざまなシーンで楽しめます。


まとめ

スパークリングワインは、その種類ごとに異なる個性があり、楽しみ方も無限大です。特別な日の贅沢から、日常のちょっとした幸せまで、あなたのライフスタイルに合ったスパークリングワインを見つけてみてください。

次の乾杯のとき、あなたが選ぶ一本はどんなスパークリングワインでしょうか?🍾✨

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