(対談)ブルゴーニュワイン高騰!ポストブルゴーニュはどこ?

ぶどう

今日は、ワイン好きの3人が集まったので、ポストブルゴーニュについてディスカッションしてみました。果たしてワインのプロは、どこをポストブルゴーニュとして考えているのでしょうか?

参加者

のぶ

ワインエキスパートワイン愛好家。どんなワインでも大好きですが、特にピノ・ノワールが好き

田中さん

都内のペアリングコースが推しの高級ビストロで働く若手ソムリエ。ワインのセレクトからペアリングまで任されている。

大橋さん

都内で会社経営をしながら、北関東でワイナリーを興し、ワイン用のぶどうの生産もしている。ワインラバー歴30年。


(のぶ) 皆さんこんにちは。ブルゴーニュワインの価格高騰が止まらず、入手が一層難しくなっています。今日はその背景と、次に注目すべき新たなテロワールについて、専門家の方々と議論したいと思います。 まずは現状について、田中さんからお話しいただけますか。

(田中)
ブルゴーニュワインは過去10年ほどで価格が2-3倍に高騰しています。主な理由は、生産量の減少と世界的な需要の増加にあります。ブルゴーニュ地方は気候変動の影響を受けやすく、特に遅霜や干ばつなどで収穫量が減る年が増えてきました。特に2020年以降は、収穫量の落ち込みが目立っています。一方で新興国の富裕層を中心に高品質ワインへの需要が拡大しています。さらに投資家の関与もあり、希少ブルゴーニュワインは financialization(金融化)が進んでいます。

(のぶ)
なるほど、供給が減る一方で需要が高まり、価格が上がっているということですね。 じゃあワイン生産者の立場から、ブルゴーニュの今後と新たなテロワールについて伺いましょう。 大橋さんお願いします。

(大橋)

ブルゴーニュはこれまで何度も苦難に見舞われながらも、素晴らしいワインを生み出してきました。しかし今回の気候変動の影響は深刻です。そこで今、ブルゴーニュに匹敵するワイン生産の可能性を秘めた新たなテロワールが注目されています。代表的なのがバーデン、ジュラ、オレゴン、ニュージーランドといった地域です。 中でもジュラは私たちブルゴーニュに最も近い環境を持っており、既に優れたワインを産出しています。

(のぶ)

確かに ジュラは豊かなテロワールと言われていますね。ブルゴーニュの伝統を継承しながら、新たな可能性を秘めた地域だと思います。

(田中)
ジュラは本当に魅力的な地域です。白ワインはブルゴーニュよりもしっかりとした味わいで凝縮感がある反面、酸も十分にあり非常にバランスが良いです。赤は果実味と渋みのバランスが絶妙で、熟成による複雑なアロマもブルゴーニュに匹敵します。

ジュラの生産者たちは自分たちの伝統を大切にしながらも、革新性にも富んでいます。例えばジュラでは古典的な醗酵方法を一部復活させたり、新しい製造方法を取り入れるなど、常に挑戦を続けています。

(大橋)
そうですね。私たちも、新しい潮流からたくさんのことを学んでいますが、特に環境保護やサステナビリティについては、ジュラの人々が先駆的な取り組みを行っていると感じています。

(司会)

確かにジュラは、テロワールだけでなく、それを支える人々の革新性と持続可能性への意識が高いのが魅力的ですね。 また、ジュラの他に、ポストブルゴーニュと目されている地域はどこがありますか?

(大橋)

バーデンとオレゴンも有力視されています。バーデンはドイツのワイン産地で、土壌や気候がブルゴーニュに似ていると評価されています。近年、高品質なピノ・ノワールやシャルドネを造り出す生産者が増えてきました。

一方のオレゴンは、アメリカ北西部の産地です。ここもピノを中心に優れたクールクライメイトのワインが生み出されています。特にウィラメット・ヴァレーは世界的な評価を受けています。

(田中)

バーデンとオレゴンの魅力は、それぞれ異なる個性を持っていますね。

バーデンは、まさにブルゴーニュに酷似した深みとコクのある味わいです。スパイシーな香りと上質なタンニンが印象的です。一方のオレゴンは、よりフレッシュで色鮮やかな果実味が魅力の、綺麗なスタイルのワインが多いように感じます。

他にもニュージーランドは、素晴らしいクール気候のテロワールを持っており、今後に期待がかかる地域の一つですね。特にセントラル・オタゴのワインは今激熱です。

(大橋)

カナダのナイアガラ地域も注目です。冷涼な気候と豊かな土壌が、素晴らしいシャルドネやピノ・ノワールを生み出しています。特にナイアガラのオンタリオ湖沿いのワインは、独特のミネラル感とフレッシュな酸味が特徴です。また、価格もまだ手頃で、多くの消費者にとって魅力的です。

(のぶ)

確かにそれぞれの地域が、異なる個性とスタイルを持っているようですね。ブルゴーニュのようなエレガントさとコクを求める場合はバーデン、よりフレッシュで柔らかい味わいがお好みならオレゴンと、自分の好みに合わせて選べそうです。

(大橋)
そうですね。ブルゴーニュワインはもちろん大切にしていきますが、同時にポストブルゴーニュの新しいスタイルのワインにも着目していく必要があります。

(のぶ)

本日は非常に楽しい対談をありがとうございました。ブルゴーニュは王座に君臨し続けつつ、新しいテロワールが台頭してくることで、ますますワインの世界は豊かで興味深いものになっていくことでしょう。皆さんもこれらの地域のワインに注目し、味わってみてはいかがでしょうか。


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